迷宮(Suno)


(原詩 downadown「迷宮」より)

夜通し謎の文字にかかりきり
東天に日の光
波が部屋の窓を破り
テーブルを洗った
部屋は幾度も波をかぶりながら
小さな船になった
ロープと錨と網を引きずって
船は灰色の港、群青の湾を
斜めに横切り 大海原へ
網には銀色のヒトデばかりかかった
ヒトデに埋もれて すきっ腹のまま
ぼくは眠る
なんの役にも立たない航海
粒よりの真珠玉みたいな
セイレーンの歌声は 遠い

潮をかぶりながら
船は傷だらけになっていくが
羅針盤の金色の針は錆びつかない
波のうねりはメビウスの輪
海流は いつも同じねじれに
船を閉じ込める
風来坊の帆は
たったひとつの歌声を探し続ける
盗むつもりではない、ただ聴いていたい
大揺れの波を追っても
たどり着かない ねじれのみなもと
うつろな難破船の墓場で
オルゴールにも似た
安らかなあの歌声が ぼくを誘う
近くにいると泣きべそばかり
遠ざかるほどに 大人
霧の中の人魚のように
つかめない


( 2003.4.1発行「結晶作用 No.3 評論&創作」金色のネジ-迷宮 より )
( 2024.10.16 推敲加筆 )
( 2024.10.19 Suno用に微修正 )

( 2024.10.19 楽曲&動画作成 Suno )


迷宮 – こちら、ドワーフ・プラネット


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