年経た暦や
古びた戸籍には
いまだ記されぬ声が
広場に満ちた
約束の星が
どの嬰児(みどりご)の
額に輝くのか
生まれ来る光の芽を
つみとるために
身がまえていた
冥府の番犬たちすら
追いつけぬ素早さで
星は 四方八方に輝いた
嬰児(みどりご)を奪われまいと
地を這って守る
男女らの 日焼けした額で
隷属の道を敷かれていた
年若き子らの 暗い胸で
星は いちどきに輝いた
約束の星は ただひとつではなかった
沈黙の星々は
光を失っていたのではない
輝くそのときを ひたすらに待っていた
よみがえれ
水瓶を捧げる大地の女神
肥沃な恵みの洪水を
とぎれめなく空と大地にめぐる雨を
病み乾いた王の都 その頭上いっぱい
押し寄せる銀河
降りしきる流星雨のように
ゆたかな腕に抱く水瓶から
無限に注げ
(2011/2/15)
(2022/10/9 加筆)
ブログ「こちら、ドワーフ・プラネット」より