さかのぼる船


さかのぼる船
荒れ地をさかのぼる

嘆きを食べる風
船腹を空にさらし
低く地に横たわる

帰らなければよかった
帰ればよかった
土砂を飲まされた学び舎
海に呑まれた家また家
あの子はどこに、どこに帰る

影たちはさまよう
わたしはまよう
どこまで続く静寂
どこまでいけばよいの?

さかのぼる船
荒れ地をさかのぼる
空に押し出され、地を走る海

見たこともない景色を見ている
いつか来る
いつか来た
その道の途中
深海と空がつながる道で……


(2012/3/11 旧ブログ・アーカイブより)


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です