アクエリアス

illust 2022.10.9 @downadown


年経た暦や
古びた戸籍には
いまだ記されぬ声が
広場に満ちた

約束の星が
どの嬰児(みどりご)の
額に輝くのか
生まれ来る光の芽を
つみとるために
身がまえていた
冥府の番犬たちすら
追いつけぬ素早さで
星は 四方八方に輝いた

嬰児(みどりご)を奪われまいと
地を這って守る
男女らの 日焼けした額で
隷属の道を敷かれていた
年若き子らの 暗い胸で
星は いちどきに輝いた

約束の星は ただひとつではなかった
沈黙の星々は
光を失っていたのではない
輝くそのときを ひたすらに待っていた

よみがえれ
水瓶を捧げる大地の女神
肥沃な恵みの洪水を
とぎれめなく空と大地にめぐる雨を

病み乾いた王の都 その頭上いっぱい
押し寄せる銀河
降りしきる流星雨のように
ゆたかな腕に抱く水瓶から
無限に注げ

illust 2022.10.10 @downadown


       (2011/2/15)
       (2022/10/9 加筆)

ブログ「こちら、ドワーフ・プラネット」より


アクエリアス


こちら、ドワーフ・プラネット (the-wings-at-dark-dawn.com)
「アクエリアス」(2011.2.15)

この詩を書いたのは、
2011年リビア内戦が報じられたとき
(2月17日革命の直前)だった。

このイメージが、
ウクライナの現状をみて、
再び胸に去来する。
遠い異国の動乱や戦争に触れて、
自分の心の中に眠っていたイメージが
呼び出されるのかも。

この詩に添えるなら、
シャガール風のイラストでなきゃ……
などと思う(が描ける気がしない)

水瓶を抱いて白い翼をひろげる
不思議で母性的な女性の姿が
ぼんやりと目に浮かぶ。
(が描けそうもない)
(できることなら形にしてみたい)


( 2022.9.25 Twitter より )


言葉を失い、詩が蘇る


言葉を失い、
夢が凍てつく時間を
また過ごした……
2011年3月11日以来。

表現することを忘れて、
ウクライナ・ロシアの情況に
見入っていた。
我に返れば、春も盛り。

こちら、ドワーフ・プラネット (the-wings-at-dark-dawn.com)
「アクエリアス」(2011.2.15)より

東日本大震災前に
書きとめた詩だけど、
ウクライナの人々の姿と、
不思議にイメージが重なる。
いつでもどこでも戦争は非道だ。
情報を発信して抗い、訴え続ける
人々の姿にひとすじ希望をみる。

こちら、ドワーフ・プラネット (the-wings-at-dark-dawn.com)
「ロキ」(2010.10.8)より

戦火が拡がりませんよう。
ラグナロクが起きないことを
ただ祈る。


( 2022.4.28 Twitter より )


お正月

今年の干支は寅。

チェシャ猫さん、
道を教えてくれますか?

お正月は1年に1回だけど、
三月うさぎのお茶会は毎日。

幼なごころの不思議に満ちた
1年でありますように。


( 2022.1.2 Twitter より )


チャレンジャー

( illust 2021.9.15 )


星の海へ
明日には出航する
未来派の
魔法使いさ(まだ見習い)

黄ばんだ呪文はすてた
地球から見上げるだけの
星の暦は
もう読みあきた

いまどきのフネは
電脳だぜ
雷神の杖は
オリオン座がもってるぜ

シリウスが季節をきざみ
北極星が方角きめる
そんな役立たずのお手本
地上に置いて

飛びこんでみなけりゃ
そらは泳げないさ
もうひとつの太陽を
さがしに行くぜ

( 2017.10.7 )
ブログ「こちら、ドワーフ・プラネット」より


ドリーマー – こちら、ドワーフ・プラネット (downadown.com)