凍てた風と薄い太陽の光に
すべての色彩が失われていく
この季節に溶け込むことを拒むのか
あなたは
鮮烈な若葉の色を放つ
すべての微笑をふりおとし
シルエットだけの木の枝で
鳥にさらわれないか
風に吹き落とされないか
他の者らは身を隠し 息を潜める空に
あなたはなおも
全身でみずみずしい生命を主張する
その無鉄砲
危なっかしさ そして
なんという無邪気さ
今はただ眠れ
あなたの内で脈打つのは
やがて来る次の季節
きっと春だけ
なのだから
( 1983.2.3 朝日新聞『あいちの詩』平田善久氏選 )
( 2001.7.31 発行『星の文字』 加筆 )
( 2024.2.10 加筆 )
( 2024.2.4 イラスト作成 Bing Image Creator )
さなぎ – こちら、ドワーフ・プラネット (downadown.com)